わかさ生活と慶應義塾大学 坪田 一男教授のもとで、小澤 洋子専任講師(所在地:東京都新宿区)との共同研究「光障害モデルにおけるRPEタイトジャンクション破綻に対するルテインの保護効果」を、2016年6月11日第16回日本抗加齢医学会総会(横浜市)にてポスター発表いたしました。この研究成果を多くの方に知っていただき、健康に役立てていただければ幸いです。
1. 光が目に及ぼす影響 ~加齢黄斑変性症との関連性~
加齢黄斑変性症は、黄斑部や網膜に“ドルーゼン”と呼ばれる老廃物が蓄積することが原因の1つと考えられています。この老廃物の蓄積は、光暴露による酸化ストレスの影響が知られており、老廃物の蓄積が黄斑部の機能の低下や、疾患の発症に繋がります。
近年パソコンやスマートフォンなどの電子機器の普及により、画面から発せられる光に目が暴露される機会が増えています。これら電子機器の画面からはブルーライトが多く発せられています。
ルテインはカロテノイドの一種で、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれる成分です。元々、私たちの肌や目の黄斑部、水晶体などに含まれて います。老化や食生活の偏りにより減少することから、サプリメントとしての需要が高まっています。
市場に見られるルテインサプリメントの原料としては、主に食用のマリーゴールドが用いられています(写真)。
ルテインは、米国での大規模臨床試験AREDS、AREDS2により、加齢黄斑変性症の進行予防に効果があることが報告されています。
2. 研究方法と結果
【方法】
生後7-8週目の動物(マウス)に、2000ルクスの光を3時間照射し網膜に障害を惹き起こしたのち、ルテインを12時間後に投与しました。光照射して48時間後に、網膜の形態的な変化を観察し、活性酸素の発生量を測定しました。また培養細胞(網膜色素上皮細胞)にルテインを添加し、抗酸化酵素(スーパーオキシドジスムターゼ:SOD)のmRNAレベルの経時的変化についても測定を行いました。
【結果】
ルテインを摂取したマウスの網膜において、光刺激によるタイトジャンクション(細胞間の接着)の構造破綻の改善とともに、SOD活性の上昇がみられました。また、培養網膜色素上皮細胞においても、ルテインの処置によりSOD活性の上昇が認められました。
【結論】
本研究の結果から、ルテインは光刺激による網膜(黄斑部)のダメージを軽減すること、その作用メカニズムとして抗酸化酵素であるSODの活性を高めることがわかりました。ルテインの摂取は、目の健康維持に役立つ可能性が示されました。