わかさ生活と慶應義塾大学 坪田 一男教授のもとで、小澤 洋子専任講師(所在地:東京都新宿区)との共同研究『和題:ビルベリーエキスによる生体網膜の保護効果』を、2016年6月10日第16回日本抗加齢医学会総会(横浜市)にてポスター発表いたしました。
1. 光が目に及ぼす影響 ~網膜疾患との関連性~
私たちがものをみるために、光はなくてはならない存在です。目に入る光は、角膜と水晶体(レンズ)を通過し網膜に到達すると、網膜では光を電気信号に換え脳に伝えることで、私たちは物の色や形を認識することができます。
しかし一方で、光にはブルーライトや紫外線など有害な光も存在します。近年では、パソコンやスマートフォンの普及に伴い、ブルーライトに目が曝される機会が多くなりました。光ストレスは目において活性酸素を発生させ、目の網膜の細胞にダメージを与えてしまいます。この光のダメージの蓄積により、網膜色素変性症や加齢黄斑変性症などの眼疾患が惹き起こされます(網膜色素変性症は日本における失明原因の第3位、加齢黄斑変性症は第4位)。
これら眼疾患に対する治療法は未だ十分確立されておらず、病気の予防や進行を抑えるような食品や医薬品が求められています。私たちは、健康食品の素材として用いられるビルベリー(写真)に着目し、網膜色素変性症における進行予防効果を研究しています。
2. 研究方法と結果
【方法】
動物(マウス)にビルベリーエキスを経口摂取させたのち、光(3000ルクス、1時間)を照射し、目の網膜に障害を惹き起こしました。ビルベリーの事前の摂取が、光によって惹き起こされる網膜組織の細胞死や視機能の低下に与える影響を調べました。
【結果】
ビルベリーエキスを摂取したマウスの網膜において、光刺激により引き起こされる網膜視細胞の細胞死が軽減されました。また、光照射による活性酸素の上昇、小胞体ストレス(異常なタンパク質の蓄積を引き起こす原因)の発生に対し、ビルベリーエキスを摂取したマウスの網膜ではそれぞれ軽減していることが分かりました。
さらに、光照射後のマウスの視機能を測定したところ、ビルベリーエキスの摂取により視機能の低下が抑制されました。また、ビルベリーエキスと既知の抗酸化剤との比較により、網膜におけるビルベリーエキスの抗酸化剤としてのはたらきが明らかにされました。
【結論】
本研究の結果から、ビルベリーエキスを摂取することで、光ストレスによる目のダメージを軽減するとともに、網膜視細胞の健康維持や視機能の維持に役立つことが期待できます。