1. メタボリックシンドロームと非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
日本では40~74歳の男性の4人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドロームだといわれ、大きな社会問題になっています。メタボリックシンドロームでは、内臓脂肪や高脂血症、高血圧、高血糖などが主に着目されますが、一方で肝臓への悪影響は見過ごされてきました。そのため、肝臓疾患の病態解明と進行抑制、治療法の開発が緊急の課題となっています。
肝臓疾患としては、脂肪肝および進行性炎症を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH:ナッシュ)が問題となります。NASHは、肥満が原因でインスリン抵抗性が起こり、肝細胞内の脂肪蓄積が増える(脂肪化)と、炎症や免疫の情報伝達を担うサイトカインの異常分泌や、酸化ストレスなどの要因が加わり、肝臓の慢性的な細胞障害や炎症、線維化が引き起こされます。NASHは、その後肝硬変や肝臓癌などへ進行していくため、早期の治療や予防が重要と考えられています。
2. 研究方法と結果
【方法】
マウス肝細胞株(AML12細胞)に肝細胞脂肪化を促す特異的な刺激(リガンド)や脂肪酸を与えることで、肝細胞の脂肪化を誘導しました。ビルベリーエキスを肝細胞の培養液中に添加することによって、肝細胞の脂肪化・障害に対する影響を調べました。またレプチン受容体欠損マウス(db/dbマウス)に高脂肪&高コレステロール食を自由に摂食させ、顕著な肝傷害を示す慢性脂肪肝モデルを作製しました。このマウスにビルベリーを添加した同飼料を摂取させ、慢性脂肪肝へのビルベリーエキスの影響を確認しました。
【結果】
マウス肝細胞株は、肝臓X受容体(LXR)のリガンド刺激および脂肪酸添加にて細胞内に脂肪蓄積が認められました。ビルベリー添加群は、LXR刺激にて誘導される細胞の脂肪化および脂肪酸直接投与による脂肪化をともに抑制しました。ビルベリーは肝細胞の脂肪化の有無にかかわらず、Nrf-2を活性化し抗酸化能を高めるとともに、細胞生存能を高めました。これらビルベリーの肝細胞に対する効果について、マウスをもちいた実験にて確認しました。レプチン受容体欠損マウスに高脂肪&高コレステロール食を8週間自由に摂食させ、顕著な肝障害を誘導した慢性的脂肪肝モデルを作製しました。このマウスにそれぞれ5%, 10%ビルベリーを添加した同飼料を同期間摂取させたところ、投与量に応じて肝/体重量比、肝脂肪化および肝障害を抑制しました。また、組織学的検討の結果、肝の大滴性脂肪蓄積も抑制されていました。
【結論】
これらの結果よりビルベリーは肝細胞の脂肪化を抑え、抗酸化能・生存能を高めることで、脂肪肝および肝障害を抑える可能性が示された。
わかさ生活では目の総合健康企業として、目の健康をサポートする食品素材である北欧産野生種「ビルベリー」の研究にいち早く取り組み、ビルベリーが持つ目や脳、体に対する機能性を明らかにしてまいりました。
このような研究の積み重ねから医療用向けサプリメントの取り扱いも行っております。これからも各方面から信頼される研究を進め、目の健康に貢献してまいります。